海外留学者からの手紙

UCSF Medical Center(アメリカ)

96期の桐山亜斗夢と申します。この度2025年11月、アメリカ・サンフランシスコのUCSF大学病院で2週間の短期留学を経験させていただきましたので、その貴重な体験をご報告いたします。

サンフランシスコは、UberやAirbnb、近郊にはApple、Google、Metaといった世界的企業が本拠地を置く都市として知られています。しかし意外なことに、人口は約97万人と札幌の半分程度の非常にコンパクトな街でした。11月に訪問しましたが気候は温暖で、日中は半袖でランニングを楽しめるほどでした。

UCSF大学病院は市内に3つの病院を擁し、各施設が専門分野を完全に分担しているという興味深い体制をとっています。私が研修させていただいたのは、外傷・Acute care・General surgeryを扱うZuckerberg San Francisco General Hospital and Trauma Center(ZSFG)です。外傷症例は日常的に遭遇する機会が多くないにもかかわらず、臨床現場では突然対応を求められる可能性があります。そのため、将来に備えて少しでも実践的な経験を積みたいという思いから、この施設を選択しました。野路先生のご紹介により、UCSF大学のProf. Adnanとの貴重なご縁をいただき、留学を実現することができました(Prof. Adnanは別の病院に所属されていたため病院内で直接お会いする機会はありませんでしたが、食事をご一緒させていただきました)。

手術見学では、腹腔鏡下胆嚢摘出術をはじめとする一般外科手術、皮膚膿瘍のデブリードマン、急性腹症のOpen Abdomen Management、さらには肝損傷の外傷手術など、実に幅広い症例を経験させていただきました。また救急外来には外傷患者が絶え間なく搬送されており、交通外傷、転落外傷、暴力事故など、日本では稀な症例を数多く見学する機会に恵まれました。

2週間の留学を通じて、特に印象深かったことが2つあります。

1つ目は、スタッフの働き方です。朝のカンファレンスは6時45分という早朝から始まりますが、誰一人として遅刻することなく全員が時間通りに参加していました。緊急手術が入る日も多く、夜7時、8時まで残業することも珍しくありません。しかし興味深いのは、勤務中にコーヒーを飲みながら回診する姿がよく見られたことです。全ての時間で緊張し続けるのではなく、メリハリをつけて働く姿勢が非常に印象的でした。日本でも「働き方改革」が進められていますが、単に労働時間を短縮するだけでなく、よりよいパフォーマンスを発揮できる工夫も重要なのだと実感しました。

2つ目は、充実した教育体制です。ZSFGには指導医に対して2〜3倍のResidentが在籍しており、皆が日々精力的に研修に取り組んでいました。中には他科(整形外科、形成外科、麻酔科など)のResidentもローテーションしていましたが、専門の違いを感じさせないほど真剣に学ぶ姿勢が印象的でした。カンファレンスでは、Junior Residentが「I think...」とはっきり自分の意見を述べ、それに対して指導医が建設的なフィードバックを返す場面が数多く見られました。また手術室では、術後のわずかな時間を使って、指導医がResidentを集めて手術のポイントを丁寧に指導する光景が日常的でした。病棟医としての自分の未熟さを痛感すると同時に、将来指導医になった時の理想像を見た思いがし、身の引き締まる経験となりました。

休日には、ゴールデンゲートブリッジを眺めながらのランニングや、NBAの試合観戦など、病院外でも充実した時間を過ごすことができました。生活面では、バスの本数が非常に多く、交通の便で困ることはほとんどありません。治安については、地区を選んで行動すれば問題ないと思いますが、日本にいる時よりは少し注意を払って歩く必要があります。ちなみにサンフランシスコには、Waymoという無人タクシーサービスがあり、街中で頻繁に見かけます。実際に2回利用しましたが、非常に快適で、予定通りに目的地へ到着してくれました。

拙い英語力ではありましたが、皆さんが非常に親切に接してくださり、とても貴重な経験をすることができました。同時に、もっと英語が聞き取れて話せたら、さらに充実した留学になったのではないかという思いも残っています。また、慣れない環境で過ごすことの疲労も実感しました。今後、留学生や医学生と関わる機会があれば、よりリラックスして研修できるよう、丁寧に接していきたいと心に刻みました。

朝が早く体力的には大変でしたが、外傷や一般外科を学びたい方には強くお勧めできる施設です。ここに書ききれなかった話もたくさんありますので、ご興味のある方はぜひお声がけいただければ幸いです。

最後になりますが、この貴重な留学の機会を与えてくださった平野教授と浅野先生、ZSFGをご紹介くださった野路先生、そして温かく迎えてくださったZSFGスタッフの皆様に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

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