海外留学者からの手紙

Virginia Mason Medical Center(シアトル)

91期の山本寛之と申します。この度、2019年10月にアメリカワシントン州、シアトルにあるVirginia Mason Medical Center(以下VM)で短期研修をさせて頂きましたので、ご報告します。

シアトルはアメリカ北西部最大の都市で、商工業や交通の中心地となっています。ボーイング航空会社の本社がある他、AmazonやMicrosoftなどIT系企業の本社もたくさん立ち並んでいる一方、近郊には世界遺産となっているオリンピック国立公園やマウントレーニア国立公園など自然も豊かです。また、コーヒー産業も盛んで、スターバックスやタリーズなど多くのコーヒーチェーンがシアトルから生まれています。コンビニよりコーヒーショップが多く、街の至る所でコーヒーを持ち歩いている人を見かけます。

そんなシアトルの中心部に位置しているVMは1920年設立の私立総合病院で、病床数336床、医師470人以上、手術室は34部屋で1日手術約90件近く行なっております。外科は胸部や上部消化管、下部消化管など各チームに分かれており、私は肝胆膵チームで研修させて頂きました。基本的にレジデントと一緒に行動し、手術や回診、カンファレンスなどに参加しました。

現地で驚いたことは朝がとても早かったことです。AM5時台に出勤しAM6時頃から回診、AM7時過ぎから手術と、日が昇る前から活動しておりました。(帰るのもPM5〜6時頃と早かったですが...。)また、医療保険制度の違いはありますが、入院期間が日本の半分以下であったことです。術患は基本当日入院で、退院は術式によりますが、術当日もしくは術翌日が多く、長くとも1週間程度でした。患者の病院に対する認識としても、日本では病気を治すところ、に対して、アメリカでは新たな病気にかかる危険なところで、なるべく病院にいたくないという認識でした。

 手術はPDやDP、肝切除など肝胆膵の手術を中心に見学させて頂き、空いた時間で上部や下部の手術も見ることができました。こちらでの手術は上級医+フェローもしくはレジデントの2人1組で行い、マンツーマンで上級医が教えながら手術を進めておりました。若手のうちから執刀する機会が多く、レジデントが術中積極的に上級医に質問しており、時には議論している光景は印象的でした。

 今回の研修を通し、日本の医療の良い点・悪い点が見えてきたのと、改めて日本の外科治療の質が高いことを再認識しました。同時に、この技術を世界に発信し交流していくためには英語は必須であると実感致しました。また、カンファレンスのみならず、オペ室や廊下などでも上下関係なく活発に討論をしているアメリカ人の姿は非常に印象的で、日本人には足りないコミュニケーション力の高さを感じました。この経験を活かし、日々の診療のみならず、海外に発信できるよう語学力を高められるよう努力していきます。このような機会を与えて頂いた平野教授を始め、野路先生、倉島先生、教室の諸先生方に心より感謝申し上げます。

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