診療グループのご案内【消化管グループ】

消化管グループの診療活動

担当医
七戸 俊明
村上 壮一
倉島 庸
海老原 裕磨

消化管グループでは、消化管疾患の外科治療を担当しています。対象となる消化管疾患には、食道癌、胃癌、大腸癌などの悪性疾患のほか、消化管GIST、平滑筋腫などの腫瘍性病変、食道アカラシア、逆流性食道炎、大腸憩室炎、炎症性腸疾患などの良性疾患、ならびに十二指腸潰瘍穿孔や虫垂炎など救急疾患があります。全道各地の当科の関連病院ではこれらすべての疾患の治療を行っていますが、北大病院消化器外科Ⅱでは主に食道癌、胃癌の内視鏡外科手術を中心とした診療を行っています。また、「がん診療拠点病院」として、地域の医療機関と連携した治療を行っています。

がん診療拠点病院とは?

北海道大学病院は国と都道府県が定める、「がん診療拠点病院」として、我が国に多い癌(肺癌、胃癌、肝癌、大腸癌及び乳癌)に対する、集学的治療(手術、放射線療法及び化学療法)及び緩和ケアの提供体制を構築しています。当科でも、地域の病院でがんと診断され治療が必要な患者さんの受入れと、手術後の患者さんの地域の医療機関への紹介などの、病病連携・病診連携の協力体制を整えています。

内視鏡外科手術とは?

内視鏡外科手術では、小さな傷(ポート)をとおして、体内に腹腔鏡、あるいは胸腔鏡(カメラ)と手術器具を挿入し、モニターの画面を見ながら手術を行います。従来の手術と比較して、創(きず)が小さく、手術後の回復が早いことが特徴です。最近になり癌の手術にも内視鏡外科手術が普及してきましたが、当教室では日本でもいち早く内視鏡手術の手技を研究・開発し、2001年には第14回日本内視鏡外科学会総会を主催するなどの実績があります。大学病院のスタッフには3名の日本内視鏡外科学会技術認定取得者を揃え(七戸俊明、加藤健太郎、海老原裕磨)、ほとんど全ての消化管疾患に対して安全で体に対する負担の少ない内視鏡外科手術を提供しています。また、内視鏡外科手術の導入により、執刀医以外のスタッフも執刀医と同じ画面を見ながら手術を行うため、安全で効率的な医学教育の実践が可能となりました。

対象となる主な消化管疾患

食道癌

当科では患者さんの予後及び術後の生活の質(QOL)の向上を目指した胸腔鏡、腹腔鏡補助下食道切除術を1996年より世界でもいち早く導入した実績があります。この術式は食道癌における胸腹部操作を内視鏡を用いて行うもので、従来の創の大きい術式と同様に完全切除が可能で体に対する負担が少ないことが特徴です。現在では合併症があり手術リスクの高いために手術適応があるものの、通常の開胸手術が受けられない患者さんや、化学放射線療法後の再発に対する救済(サルベージ)手術などを含めた、手術適応の食道癌はほぼすべて内視鏡外科手術が可能です。

なお、食道癌の治療は外科治療のほかに、内視鏡治療(粘膜切除)、化学療法(抗癌剤治療)、化学放射線療法、放射線療法など多岐にわたり、それらを組み合わせた集学的治療が重要です。北海道大学病院では当科での手術治療のほか、内視鏡治療(光学診療部・消化器内科)、化学療法・化学放射線療法(消化器内科・腫瘍内科)、放射線治療(放射線科)のいずれの治療に対しても専門家が連携を取り合い、協力しながら、病状に応じたきめ細やかな治療を行います。

胃癌、大腸癌

胃癌、大腸癌手術は大学病院のみならず多くの病院においても広く行われている現在、大学病院の役割は手術成績と術後の生活の質(QOL)の向上を目指した手術術式の開発・普及と、手術後の再発予防のための補助療法の確立であります。手術は腹腔鏡下胃切除術(幽門側胃切除術、胃全摘術、噴門側胃切除術)と腹腔鏡下大腸・直腸切除術を積極的に導入しています。これらの腹腔鏡手術は従来の開腹手術と同じ切除・郭清範囲で行うことが可能で、技術の進歩に伴い、ほとんどの胃・大腸癌の手術は内視鏡で行うことが可能となってきております。

さらに、手術後の患者さんの再発予防・更なる予後向上を目指し、最先端かつ、最適な補助療法(術前や術後の抗癌剤治療や免疫治療)の探求を目的とした臨床治験(ランダム化前向き試験)も実施しています。

その他の疾患

救急部からの交通外傷、急性腹症(絞拘性イレウス、胃・十二指腸穿孔、腸穿孔、SMA血栓症など)などの手術依頼も多く、日夜対応しています。現在いる大学スタッフ及びレジデントのすべてが、地方の中核病院での第一線の救命救急医療現場での実地経験を有しており、これらの救急医療・緊急手術を得意としています。手術は深夜にわたることもあり苦労も絶えませんが、その一方で、外科医としての実感を味わう機会でもあります。

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