お知らせ

大川裕貴先生の岡山大学国内留学の留学体験記を追加しました。

91期 大川裕貴と申します。
2019年12月に2週間、国内留学という形で岡山大学に研修にいかせていただきましたので、ご報告させていただきます。

そもそもなぜ、岡山大学への研修を希望したか。それは岡山大学が西日本で1番の食道癌の手術件数を誇る施設であるからです。
私は2018年度恵佑会札幌病院で1年間研修し、多くの食道癌手術を経験させていただきました。
その経験を、1年間だけで終わらせてしまうのは勿体ないと感じ、ぜひ他の施設の食道癌手術を見たいと考え、岡山大学への研修を希望させていただきました。

岡山県は人口180万人で北海道の約1/3、面積は北海道1割にも満たない県です。そこで年間120件を超える食道癌手術を岡山大学では行っています。食道癌の手術は白川准教授をはじめとした食道チームですべておこなっていました。
食道チームはスタッフ4名と大学院生3名の計7人で構成されており、週3つの枠で食道癌の手術を行っていました。
年間120件を超える食道癌の手術を常に同じメンバーで行っており、手術操作から再建方法まで、しっかりと定型化されていました。
特に吻合については「誰が吻合してもできる簡単な手技」をコンセプトにしていて、その点についてもとても感銘をうけました。

また今回の研修で最も驚いたことは、食道チームと他科、コメディカルとの連携が取れている点でした。
その連携の一つとしてあげられるのは、腹臥位体位による術後の肩周囲の筋肉痛、腕神経叢麻痺の予防を目的とした腹臥位への体位変換でした。
食道癌の腹臥位は右上肢を挙上した体位をとるため、先に述べた合併症が起こり得ますが、それを予防するために、理学療法士の介入のもと看護師が中心をなって、腹臥位への体位変換をおこなっていました。
上肢の角度や固定の仕方などを、事細かに決めており、その結果をもとに研究化にも取り組んでいるとのことでした。
また周術期管理についても、術直後から数日間はICUでの麻酔科管理が行われ、術後誤嚥予防のために、全症例に口腔外科から嚥下機能の評価が行われていました。
術後の合併症を減らすために、他科やコメディカルとの連携が上手に取られていると感じ、これも一つの定型化であるとおもいました。

年間100件を超える食道癌手術を合併症なくおこなうためには、定型化が重要な一つの要素であるということを改めて感じました。
これは1日の手術見学では感じることはできなかったと思います。
2週間という期間で手術から周術期管理を含めて見学することができたため、感じることができたと思います。
今回、国内の他大学への見学から多くのことを学ぶことができました。
全国的な視野を持って今後の診療にあたっていければ、そして今後その視野を国外へと広げることができれば、と考えております。

最後になりますが、この貴重な機会を与えてくださった、平野教授を始めとする医局の諸先生方、同期の病棟医の先生方、本当にありがとうございました。
この経験を生かして、今後の日々の診療・学習に取り組んで行き、外科医として成長したいと思います。

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