研修医のみなさんへ

ペーパー専門医ではなく、真の専門医を育てる

消化器外科Ⅱの教育システム(後期臨床研修プログラム)

当教室では、単に早く専門医資格を取得するのではなく、外科医の基本を身につけ、将来的に専門領域を具有する一般外科医として活躍できるような、長期的展望にたった外科教育システムを取り入れています。

  • 土台の広い外科医になるため、早くから関連各科で効率よく研修する
  • 種々の局面に柔軟に対応する能力を養うため、複数の一般病院で研修する
  • 専門分化した高いレベルの治療内容を知るため、大学病院などの専門施設で研修する
  • 臨床医として科学的論理性を身につけるため、一時期基礎研究に没頭する

このような観点から、12年一貫した全人的外科教育システムを実施し、『大きな』外科医を育成するシステムを導入しています。外科志望の方、少しでも外科に興味のある方はぜひ一度ご覧ください。

基本カリキュラム

1.基本理念

外科医としての幅広い見識と技術の習得とその向上を目指し互いに切磋琢磨を続け、医学と医療の進歩と発展に寄与する

今日、悪性腫瘍および成人病(生活習慣病)に対する外科治療の必要性が増加しており、これらの治療法の一層の進歩と発展が望まれている。この医学の進歩と地域医療の要請に応えるため、北大病院(大学病院)および研修病院における臨床トレーニングとともに教室、関連研究施設における基礎研修を通じて、外科医としての幅広い見識と技術の習得と、その向上を目指し互いに切磋琢磨を続けることを基本理念とする。

さらに、外科系各分野における最新の知識・経験・見識を修得し、専門外科医として最善の医療を実践し、医学と医療の進歩と発展に寄与することを目的とする。

2.基本方針

研修コースを卒後初期臨床研修、基本外科研修、一般外科研修および大学での高度専門研修にわけ、基本外科研修においては一般外科学・麻酔科学・救急医学などを学んだ後に大学に異動し、一般外科研究期を経て外科専門領域の研修にあたる。専門領域としては、消化器外科の中でも癌の診断と治療に関する研修・研究を中心とする。その後は、大学勤務を中心に国内外の最新の知識と技術を取り入れ、専門外科学の進歩に寄与する。

3.修得目標

  • 1)医師としての研修

    研修臨床、研究を通して医師としての人格を陶治し、最新の医療知識と技術を研修病院、大学病院研修の中から修得する。

  • 2)幅広い外科医としての研修

    麻酔・救急・内視鏡・集中治療を含めた一般外科(消化器外科および呼吸器外科)の診断学及び治療学を幅広く習得する。特に癌治療を担う外科医としての修練に重点をおく。

  • 3)外科専門医としての研修

    研修実績の中から次第に専門分野に移行し、最新の臨床研究を行う。
    専門医制度に対応できる臨床経験・知識を習得する。
    専門外科医として、地域の要望に応え活動する。

4.習得項目

各種専門医制度の資格申請に必要な実績を積み資格を取得する

  • (1)外科専門医(認定施設で5年以上の研修)
  • (2)消化器外科専門医(上記(1)を取得後3年以上の研修)
  • (3)救急医学会認定医(3年以上の施設研修)

各種指導医制度の資格申請に必要な実績を積み資格を取得する

  • (1)外科学会指導医(認定医取得後10年以上の実績)
  • (2)消化器外科学会指導医(専門医取得後4年以上の実績)
  • (3)胸部外科学会指導医(認定医取得後6年以上の実績)
  • (4)救急医学会指導医(10年以上の施設研修)

12年一貫全人的外科教育システム

卒後
年数
内容通常入局三年目入局目標資格
学生診療実習北大病院その他の研修病院クリニカルクラークシップ医師免許
1卒後臨床研修北大病院研修病院専門外科以外のローテーション一般外科専門医
(1階)
2A病院
3基本外科研修A病院複数病院のローテーション
⇒応用力・柔軟性
4B病院B病院
5北大病院高次、先進医療の経験
(複数ローテート)
6研究期間関連教育施設基礎的研究の経験⇒科学的論理性
(高度専門施設での臨床研修)臨床研究の経験
医学博士
7
8予備--
9一般外科研修C病院一般外科・専門外科研修専門外科専門医
(2階)
10
11専門外科研修北大病院専門医教育
12
13スタッフ
サージャン
D病院専門領域を具有した一般外科医指導医
学会評議員
14
15
16スタッフ
サージャン
D病院あるいはE病院
(研修内容によって病院の見直し)
専門領域を具有した一般外科医
17
18
卒後臨床研修(1、2年目)
北大病院の卒後初期研修では1年目もしくは2年目のどちらかは消化器外科Ⅱ関連教育病院での研修となる。卒後臨床研修システムを当科の12年間の系統的卒後教育システムの最初の2年間として位置づけ、その後の専門医教育へスムーズに移行できる点を特徴とする。従ってこの2年間は外科医としての基本を身につける上でも有意義な期間とし、1年目は内科研修を6ヶ月、さらに外科、麻酔・救急研修を3ヶ月づつ行い、2年目は小児科、産婦人科研修を1~2ヶ月、精神科、地域保健医療研修をそれぞれ1ヶ月行い、残りの自由選択の6~8ヶ月を外科研修にあてることを原則としている。
基本外科研修(3、4、5年目)
北大病院及び消化器外科Ⅱ関連教育病院で初期研修を修了した場合は3年目は原則として同一病院の外科で修練する。4年目は別の第二外科関連教育病院で異なった病院、システム、指導医のもとで研修し応用力を高める。その他の研修病院で初期研修を行った場合には、3~4年目の前期研修をそれぞれ1年間関連教育病院で行う。2年間一般外科を修練した後、5年目は大学で消化器外科、ICU、麻酔、光学医療部などをローテーションし、より高度な専門分野を研修する。
研究期間(6、7(8)年目)
大学院で基礎研究あるいは臨床研究に専念して、将来の外科臨床において必要となる科学的思考を養う。
総合外科研修((8)9、10年目)
消化器外科Ⅱ関連教育病院の中核メンバーとして、一般外科研修を行いつつ専門外科(消化器外科、呼吸器外科)修練を行い、豊富な手術症例を経験する。
専門研修(11(12)年目)
北大でさらに高度な専門外科研修を行い、当該領域の専門医取得をめざす。
スタッフサージャン(13年目~)
専門外科領域をもった一般外科医として活躍し、また関連教育病院の上級指導医として後輩の指導にあたる。病院と本人との相互評価によっては3年ごとに勤務病院を見直す。

研究専念期間ガイド

原則として3年間の大学研修コースのうちのおよそ2年間を研究専念期間とする。研究課題の選択は自由である。研究成果は一編以上の英文論文として発表し、学位論文の審査を受け、医学博士号を取得する。

基本コース
大学院への入学は、卒後5年目の4月1日とする。

入学4年後の大学院卒業までに、主論文、副論文の作成が必要である。
バリエ−ションコース
大学院への入学はどの時点でも可能である。

外科オールラウンド研修

北海道大学病院では、診療科に所属(いわゆる入局)しないで、外科系診療科を卒後2~4年目に一年間ローテートできる外科オールランド研修を行っております。

外科系を希望するが所属を決められない場合や、他科志望だがより専門性を高めたい場合にはベストな選択枝です。

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