研究グループ紹介【消化器外科Ⅱ研究室】

消化器外科Ⅱ研究室について

消化器外科Ⅱ教室は分子生物学的研究を独自に行うことができる研究室を持ち、土川、中村両スタッフのもと大学院生数名とともに、「臨床応用を念頭に置いた基礎研究」をコンセプトに研究に取り組んでいます。
また、多施設共同研究をはじめとした臨床研究も積極的に展開しています。

以下に、当科で行っている研究の一部を紹介します。

がんワクチン療法の効果予測因子の解析

近年、癌治療において、免疫療法が手術療法、化学療法、放射線療法に続く第4の治療法として期待されています。我々は、その中で特に癌精巣抗原であるMAGE-A4をターゲットとしたがんワクチン療法に着目し、臨床試験(「MAGE-A4抗原を発現する難治性悪性腫瘍に対するCHP-MAGE-A4 がんワクチン臨床試験」2009年~2012年)を行っています。2012年2月に登録を終了し、安全性の確認、臨床効果の検証を行うとともに、治療効果のバイオマーカーの探索に関する研究を現在行っています。

癌精巣抗原(Cancer Testis AntigenCTA)を標的とした免疫治療の開発

CTAとはがん細胞に多く発現し、精巣以外の正常細胞には発現していない抗原のことで、多くの抗原が発見され、上記のがんワクチン療法のような免疫療法のターゲットになっています。当研究室ではMAGE-A4をはじめ、MAGE-A3、NY-ESO-1、WT-1といったCTAについて、各種癌患者における発現率の解析や発現確認の方法の最適化に関する研究や抗原拡散についての研究を行っています。これらの研究を通してより有効な免疫治療、がんワクチン治療の開発を目指しています。

腫瘍微小環境の解析

根治切除の難しい再発・進行癌に対する集学的治療として、化学療法や放射線療法が適応となりますが、その効果は限定的で十分な治療成績が得られていないのが現状です。癌に対して抗がん剤や放射線が効きづらい要因として、腫瘍細胞自体の性質に加え、腫瘍周辺の免疫細胞、血管内皮や線維芽細胞などの腫瘍局所微小環境が大きな役割を担っていると考えられています。そこで、我々は食道癌、膵臓癌や胆道癌などの難治性癌の手術材料をもとに、腫瘍微小環境に着目し、腫瘍浸潤リンパ球、HLA発現のdown regulation、免疫抑制細胞に関する研究を行っています。

その他の研究

基礎研究
抗癌剤による宿主免疫反応増強効果の解析
難治性消化器癌における化学療法効果予測因子の探索
末梢血、腫瘍局所のIgGκchain定量評価による癌の予後予測とメカニズム解析
原発巣と遠隔転移巣における宿主免疫環境の評価と免疫逃避機構の解析
Tissue microarrayを用いた癌精巣抗原の網羅的発現解析
臨床研究
「活性化ガンマデルタT細胞による癌抗原の提示能に関する評価」
「根治切除術後食道癌のNY-ESO-1抗原発現陽性例に対するIMF-001の多施設共同無作為化比較試験(第Ⅱ相臨床試験)」
「血液解析にもとづく膵・胆道癌患者の術前微少肝転移予測に関する研究」

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